【国際組織法・渡部茂己】シラバス

 

【1】 序

 1 国際機構(国際組織)の概念(定義および名称)

    1−1 国際機構・国際組織・国際機関・(国際団体・国際制度)という呼称

    1−2 国際機構(国際組織)の定義

 2 国際組織法について

    2−1 国際組織法とは、@国際機構の(国際機構に関する)法か、A国際機構の「組織法」か?

      ◆「国際組織法(International Institutional Law )」(上記A)と
       「国際機構法 (Law of International Organizations)」(上記@)の違いは決定的に重要−                      

    2−2 問題提起の2−国際組織法は国際法の一部か? 独立の学問か(ホーヘンベルデルン)?

      A 国際法(海洋法・条約法・国際組織法・宇宙法などを含む)

      B 国際法は国家・国際機構等の相互の関係を規律する。

      ◆国家の内部法は国内法で、国際機構の内部法は国際組織法

 3 国際機構法における組織法(内部関係)と作用 (機能) 法(対外関係)

    参考 : 国内法では行政(権)の組織に関する法と作用に関する法。
                        (と統制に関する法を挙げるばあいも)

          おなじく、立法についても、司法についても(田中二郎)

【2】 国際機構の基本条約

 1 基本条約の概念

    1−1 名称 基本条約・設立条約・基本文書・設立文書

    1−2 定義 「国際機構を形成する国家間の明示的合意」であって、
             国際機構の活動目的・基本的組織構造・権限等を掲げた文書                  

      イ 国際機構を設立する。 
      ウ 目的・機能・作用(法)と組織(法)を規定する。

 2 二重機能(dedoublement fonctionnel 機能の二重性)   [二重の二重機能]

    2−1 @ 基本法の「二重機能」(憲法〔対内的〕←→条約〔国家間〕) と
        A 国連憲章の二重機能(国連という国際機構の憲法と、国際社会の憲法) 

    2−2 国家の「二重機能」性   図示 

 3 設立手続きの法律行為としての意義

     法律行為 (意思表示を要素として法律効果を発生させる行為) の類型

       イ合同行為(同一の目的に向けられた多数の意思表示の合致によって成立する(法人の設立、総会の決議)
 
   ←→ウ双方行為(申込みと承諾という相対する意思表示の合致により成立する (契約 売買・賃貸/条約)
       エ単独行為(一当事者の一方的意思表示で法律効果が発生する (遺言 代理・委任/通告 国家承認 抗議)                                                                                                                 

 4 独立の法文書とは限らない。 ICAOは国際民間航空に関するシカゴ条約の一部 
                     国際連盟・国際労働機関はベルサイユ 条約等の一部 

【3】 国際法主体としての国際機構

 1  法主体性 (法人格) の意味DD法の主体:(法的)権利・義務の主体=権利主体  

     法主体性とは、権利義務の主体となりうる能力・地位 →権利能力 (義務の負担者となりうる)

      ◆自然人:民法1条の3「私権の享有は出生に始まる」 →国家 (ただし国内法では公法人)
      ◆法 人 :法が認めた権利主体  →国際機構       

   法人格の内容 権利 (義務) 能力+行為能力 

       生マレタトキカラ 年齢等ニヨル (未成年者になし)

       ◆権利 (義務) 能力←→ 行為能力−単独で権利を得たり、義務を負担する行為を完全に行える能力                                                           

 2 国際法主体の意味⇒国際法主体とは国際法上認められた「法主体」 (国際法の権利義務が帰属する)

    2−1権利能力と行為能力 --- 通常、両者を不可分のものとして取得する。
            例外−◆占領下の国 (ex. 第2次大戦後の日・独)
                ◆民族解放団体⇒「国家の胎児」とみるべき存在(山本草二)

       ◇Verdross−能動的国際法主体⇒国際法を定立する能力をもつ (←自然人)
              −受動的  〃   ⇒権利義務を付与されるのみ   (←法人)  

     2−2行為能力=法律行為能力(条約締結)

      2−3違法行為能力(国際違法行為責任についてみずから請求を提起し、または、
                  その追及を受ける能動的・受動的な当事者適格)

     2−4訴訟能力(国際裁判において原告または被告となる訴訟当事者適格

3 国際法主体の種類   

    3−1生得的主体=固有の権利に基づく  

         国 家   (本源的)  一切の権利義務が包括的・無制限に帰属する
                (能動的)主体−自らの意思に基づいて新たに国際法規範を設定す

     3−2非国家的行為主体   

         国際機構  (派生的主体(二次的)−国家の意思に基づいて国際法上の権利義務が帰属する)
                (受動的主体 〔限定的に能動的主体となる〕)

 4 国際機構に国際法主体性が認められた根拠

        法的根拠→機能的能力(functional capacity) 目的と任務に対応したもの 
        ICJ勧告的意見(1949) 国際法人格からの「必要な推論」necessary implication    

      ◆派生的法人格説−国家の意思から派生する 加盟国との関係のみ
      ◆客観的法人格説−慣習法で確定した客観的性質 。非加盟国にも有効に対抗できる


【4】意思決定 

  意思決定手続(広義)の構造
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
  +代表制度                                                 
  |                                    
  |                              +全会一致制            
  |         +定足数               |                 +一国一票
  |         |      +表決による採択−−+       +表 決 力−+    
  +意思決定手続+                    |       |        +加重票 
     (狭義)   |      |            +多数決制−+          
            +採択手続+                     |         +単純多数                                                                         +多数決要件−+    
                    |                               +特別多数 
                    +表決によらない採択(コンセンサス採択)          
                                        
                                        
+−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−+
      出典: 渡部茂己「国際連合総会の意思決定手続」『世界法年報』第11巻、1991年、3頁。
         渡部茂己「国際機構の意思決定」『新国際機構論』国際書院、2005年、109頁。

◆ 定足数の2つの場面

◆ 全会一致の2つの意義

 「全会一致」という手続には, 厳密には, 2つの異なる意味がある。
すなわち, 「いかなる国もみずからの意に反して拘束されない」という意味の場合と,
「決議の成立にすべての国の賛成を要する」という意味の場合に分けられる。

 前者は,いわゆる「合意は拘束する」(pacta sunt servanda )の問題であり,後者は, 「広義の拒否権」
をすべての関係国へ与えるものとなる。言い換えれば, 前者は「合意の原則」であって, 国際社会一般にお
いて妥当する基本原則であり, 国際機構との関係ではその設立時に機能する原理である。
 ルイ・ヘンキン(Luis Henkin)は, 「全会一致は反対者を拘束はしないが, 同意国は自分自身のための
法を形成しうる。拒否権は他者が決定するのさえ妨げる」として, 全会一致という用語をこの意味で用いる。

 後者は「表決制度上の全会一致」であり, 国際機構の内部における手続として機能するものである。
一般 に, 全会一致の原則(principle of unanimity)という場合は, この意味で用いられる。
表決制度上, 全会一致を採用するか多数決制を採用するかに関しては, 合意の原則に基づいて決定される。

 ここでは、 「表決制度上の全会一致」について検討する場合には, これを明確にするために, できる限り
「全会一致制」と記述したい。

◆ 一国一票制、厳密には「各国同数表制」(ILOの場合を想起せよ)

◆ 質的加重票と量的加重票

◆ 二重拒否権 三重拒否権 自動的拒否権

◆ コンセンサスの2つの意義(実質的意義と形式的意義)
    ※参考文献→渡部茂己「コンセンサス決議の国際法上の意義」『法学紀要』第27巻、1986年 

◆ ネガティブ・コンセンサス
    ※参考文献の一部→渡部茂己「国際経済機構における意思決定手続の特徴−WTOを中心に−」 『常磐国際紀要』第5号、2001年3月。【常磐大学研究助成論文】

◆ 国際機構決議の法的効果

【5】特権免除 

※参考文献→渡部茂己「国際機構の特権免除−国内裁判権免除に関する米・日の諸判例を手掛かりとして−」
『日本法学』第59巻、1993年。【文部省科研費助成研究論文】
 "The Privileges and Immunities of International Organizations.

【6】法律行為能力 (条約締結権)

【7】不法行為能力 

【各論】 国際連合

  ※参考文献の一部 →渡部茂己「新国際秩序と国連総会の意思決定手続−諸改革案の検討を中心として−」
『国際政治(日本国際政治学会機関誌)』 第103号、1993年。”New International Order" and the Reformation
of the Decision-Making Procedure in the United Nations General Assembly

     国際連盟と国際連合 

     国連の主要機関 

     専門的国際機構 

     地域的国際機構  

      ◆欧州連合 

      ◆米州機構  

      ◆アフリカ連合とアラブ連盟

      ◆他